ピコ勉強会/Dion Hinchcliffe:2008年のSocial Graphの問題点と戦略 http://www.ark-web.jp/sandbox/marketing/wiki/279.html
Dion Hinchcliffe:2008年のSocial Graphの問題点と戦略 †
- ピコ勉強会@2008.01.29
- 担当:中野
- Web 2.0草創期から読み応えのある論考を書いているDion Hinchcliffe氏。彼が2008年の"Social Graph(ソーシャルグラフ)"について予測しているので、まとめてみる。
- The Social Graph: Issues and Strategies in 2008 [Dion Hinchcliffe's Web 2.0 Blog]
Social Graphについての前説 †
The Social Graph: Issues and Strategies in 2008 [Dion Hinchcliffe's Web 2.0 Blog]
http://web2.socialcomputingmagazine.com/the_social_graph_issues_and_strategies_in_2008.htm
- 他のHypeはダメになっても、2008年はSocial Networkはもっと盛り上がるだろう。
- Social Graphというバズフレーズは複雑なグラフ理論に基づくが、見た目はシンプル。人をノードに見立て、関係を線で結び、直接的・間接的なつながりをあらわすもの。
- Social Analyticsの実践例としてのFacebookのAppを挙げる。
- 商用/スタンドアロンアプリの例。
Strategies and Issues for the Social Graph - Circa 2008 †
- The social graph is poised to replace the address book and contact list as the preferred organizing structure for personal and business relationships.
- ソーシャルグラフは、旧来のアドレス帳やコンタクトリストを置き換える方向へ向かっている。個人やビジネスの人間関係構築のツールとして。
- SNSはオプトインであり双方いないと成り立たないため、逆のコミュニケーションやコラボレーションを促す方向へ向かうだろう。
- 注:スタティックなアドレス帳でなく、人との交流によって磨かれる人間関係の反映としてのリストという意味か。興味深い。
- Ownership of the social graph is going to be a ground zero issue in 2008.
- 誰がソーシャルグラフの所有者なのか、は2008年に大きくクローズアップされる。
- あるサービス上で築いた人間関係はポータブルか? という問題は多くの人の関心ごととなる。双方向のオプトインで築かれる人間関係は貴重であり、別の場所で再びやり直すのは難しいから。
- 注:それを解決するのがOpenSocial的なアプローチだと理解しているけど。
- Many social networking services will adopt open data initiatives.
- 多くのSNSがopen data initiativesを採用するだろう。
- GoogleとFacebookはすでにDataPortability.orgの指示を表明した。またGoogleはOpenSocial initiativeを持っている。
- トラディショナルな企業は、転職する者に人間関係をポートすることを許さない。ので、多くのビジネスパーソンはオープンなWebに惹かれることになる。
- 注:なるほど。「自分のソーシャルグラフがポータブルでないこと」は、そのサービスを使い続けたくない有力な理由になりそうだ。
DataPortability.org - Share and remix data using open standards
http://dataportability.org/
- Attempts to monetize social graphs will drive interest in regulation and legislation.
- ソーシャルグラフをマネタイズしようとする動きは、規制強化を促すだろう。
- SNSは国際的に伝播し、そこでの人間関係は生活の中心になる。子どもをどう守るか、プライバシーの問題について、EUやアメリカ政府が規制の範を示すことが期待される。
- 注:「マネタイズ」の括りが粗いと思うけど、いろんなユーティリティ的サービスを購読制などで使ってもらうなどのSaaS的モデルはありうるのでは。
- The line is blurring between personal and business use of social graphs.
- ソーシャルグラフにおいて、個人とビジネスの境界線ははっきりしない。
- 我々は急激に、知人の誰もがいる大きなソーシャルグラフに入りつつある。多くのSNSの機能はプアで、サブグループによって使い分けたりする機能を提供していない。ソーシャルグラフのセグメンテーション機能が求められる。
- 注:北米でもこういう見方があるのか。大きなSNSが拮抗しているし、一つのSNS内でもユーザーグループが作れたりするなど日本よりは進んでいると思うが。日本は、超巨大なmixi対OpenPNEベースなどのミクロSNS群という構図だろうし。
- Open Web identity, which will ultimately form the global "primary key" for social graph nodes, will not get anywhere soon.
- ソーシャルグラフの1ノードとしてうまく機能するためのOpen Web identity(MSのLive IDのような統合アカウント、いわゆるIndentity 2.0的ソリューション)は、まだ定着しないだろう。
- ユーザーはまだそれを強く望んでいる段階でなく、SNS間のデータポータビリティがそれを代替する。
- 多くのソーシャルグラフ生成ツールは人手を要する。が、Visible PathのようにメールやIMを監視してソーシャル活動をグラフ化するようなソリューションがあれば、もっと普及するだろう。
- この辺、年明け早々とはすでに様相が変わってきているかも。OpenID絡みとか、OAuthとか。
- Making social networking "gardening" and administration easier will drive new innovations.
- ソーシャルネットワークを“ガーデニング(?)”したり容易に管理できれば、新しいイノベーションが生まれる。
- 手作業が必要なソーシャルグラフが多いが、Visible PathのようにeメールやIMを監視して自動的にリッチなグラフを描くようなソリューションによって、ソーシャルグラフはもっと普及するだろう。
- 注:目的ありきだとは思うが。
- The optional two-way confirmation of a social graph link becoming standard.
- ソーシャルグラフ同士の連携についての双方向の合意をオプションにすることが標準的になる。
- FacebookやLinkedInは、ある人をあなたのソーシャルグラフに加えようとするとき双方向の合意を必須としている(?)。Spockはそうではなく、このやり方の方が標準的になるだろう。
- 注:Flickrのcontacts(一方的)、TwitterのFollow(一方的)のようなやり方が主流になるということか。いわゆる“両思い”がどれだけ多いかも、ソーシャルグラフ分析では面白いテーマになりそう。
- Social networking fatigue will not set in as perceived constraints such as Dunbar's limit do not prove to be universal.
- ソーシャルネットワーク疲れは、広範なものにはならない。
- ソーシャルグラフはどれくらい大きくなれば管理できなくなるか、また収穫逓減の法則が働くか、については多くの理論がある(FacebookとLinkedInは上限を設けることを勧めている)が、ソーシャルグラフにはデータマイニングから歴史研究まで多様な目的があるので大丈夫だ。//抄訳ちょっと自信なし。
- 注:「ダンバー数」はいろんな条件で変わるという見方もあるし。