2006年5月18日
YouTubeを使った新しいプロモーション手法-PGMG Video Contest-
ディレクターの安藤です。
YoutTubeをビデオソーシャライズの最大手と呼ぶことに異論はないと思いますが、同時に著作権の侵害問題など運営を続けていく上で重大な問題が指摘されています。
ユーザーが本当に望むことと、著作権を守りたい人、またそれで生計を立てている人との間にある溝は永遠に埋まることはないと思いますが、そんな状況の中で非常に素敵な試みを発見しましたのでお知らせします。
アメリカのPretty Girls Make Graves(以下PGMG)というバンドが、YouTubeのユーザーに呼びかけ、自分達の新曲、The Nocturnal Houseを使って、ユーザーにプロモーションビデオを作ってもらうというキャンペーンを行いました。
PGMGはアメリカのグラスルーツハードコアバンドとして活躍していたKILL SADIEのメンバーを含む4人組で、DIMMAKをはじめとしたインディペンデントパンクレーベルと長く活動を共にしてきたバンドです。自分の家のダイニングでTシャツを刷り、人の家のガレージで演奏をし続けた歴史のあるバンドなので、自分達が何を大切にし、誰と向き合わなければいけないのか、誰を信用するべきなのかを理解しています。
今や、アメリカで最大規模のカンファレンスであるSXSW(このカンファレンスもWebを利用した非常に先進的な試みがなされています)をはじめ、数々の音楽フェスティバルにも出演し、あのFranz Ferdinandと世界ツアーをするほどのビッグネームとなりましたが、ファンとのつながりを大事にし、ファンに自らのプロモーションを委ねることは彼らにとっては自然なことだったのでしょう。
プロの参加お断り、関係者お断り、完全アマチュアによるこのコンテストに投稿された作品は119にものぼりました、その中で優勝した作品はこちらです。
また、このコンテスト終了後、PGMGよりメッセージが公開されています。
今回、YouTubeという公開された場所で、各々が自分の創造性を発揮して、様々な作品を作り上げたこと自体が一つの話題ともなるでしょう。また、落選したとしても自分の能力を広く世に示すことの出来る場所として、YouTubeの本来の目的の啓蒙に役になったのではないでしょうか。ある人は、今回落選した人のクリップの作り方を気に入って連絡するかもしれません。また、アカウントを作ったことによって今まで自分が作っていた作品を世に広く公開する後押しをするかもしれません。そのような情熱と機会が出会う場所がYouTube本来の存在意義だと思います。
現在は準メジャーレコード会社であるMATADOR Recordsと契約していますが、その契約の中でファンが喜ぶであろう、今までの商慣行から考えるといささかやんちゃな方法を試みることを許したスーツ組の度量も大きいと思います。
ひょっとしたら頭の切れるプランナーが存在するのかもしれませんが、そうだとしても、自らの会社に所属するバンドの楽曲を再加工することを積極的に促す姿勢は非常に先進的と呼べるでしょう。
YouTubeに関して、私個人の意見としては、既に入手出来ないようなTVの映像や、音楽にのめりこんだ当時のMTVビデオクリップなどは大目に見て欲しいと思っています。勝手だとは思いますが、オフィシャルで再発される可能性はゼロに等しいし、また、映像クオリティなども非常に低いものです。
それによってアーティストの価値が著しく下がる、ということでもない限り目くじらを立てることなく、Pretty Girls Make Gravesのように自分達が向き合うべき人達と一緒に素敵なものを作る、そんな姿勢が必要なのではないでしょうか。
また著作権というもので芸術をがんじがらめにするのではなく、再利用を認めることでより優れた文化が生まれてくるのではないでしょうか。
「もし私が他の人よりも遠くを見ていると したら、それは巨人の肩の上に立っているからだ」 アイザック・ニュートンの言葉ですが、現在の優れた音楽も同様に偉大な先人の創造の上に、そしてその模倣の上に作られています。
個人的な思い入れにより話がずれてしまいましたが、ファンと一緒に素敵な何かを作っていくことは、クルートレイン宣言的なプロモーションと呼べるのではないでしょうか。
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